清原和博氏、薬物依存について語る 有罪判決後初の公の場、厚労省のイベントに出席

スポーツ報知
厚生労働省のイベントに登場した清原和博氏(カメラ・越川 亘)

 元プロ野球選手の清原和博氏(51)が6日、都内で行われた厚生労働省の主催イベント「誤解だらけの“依存症”in東京」に出席した。主催者によると、2016年に覚醒剤取締法違反で有罪判決を受けて以降、公の場に姿を見せるのは初めて。約5分間の出演で「逮捕されて3年。身近な人に正直にものが言えることが自分が今、変わったこと」と現状を語りながら、依存症に悩む人にエールを送った。

 衝撃の逮捕から3年。かつてのヒーローが、ようやく人前に姿を見せた。一般客約180人の前にサプライズで登場した清原氏は、「皆さん、こんばんは。清原です」と丁重にあいさつした。ストライプスーツにネクタイ姿。髪を短く刈り上げ、トレードマークのあごひげも。ガッシリした上半身は現役時代を思わせた。

 アルコールや薬物、ギャンブルなどの依存症について理解を深めるための普及啓発を目的とした厚労省のイベント。現在も治療を続けているという清原氏は、薬物依存症に詳しい医師の松本俊彦氏とのトークセッションに臨んだ。

 オファーを受けたことについて「正直、自分は逮捕されて3年になるんですが、コツコツと治療してきたことを厚労省に認めていただいたと思うと、すごくうれしい気持ちでした。少しでも、自分のように苦しんでる人のためになればと思い、すぐに自分で決めました」と感謝。依存症に苦しむ人々に向け「自分の体験ですが、薬物は一時的にやめられても、やめ続けるのは自分自身では難しいです。勇気を出して専門の病院に行ってほしいです」と呼び掛けた。

 現在も2週間に1度、病院に通うなど治療を継続していることを明かし、「いろんなテキストを勉強したり、薬物について勉強したりすることによって自分はこうだったんだ、ああだったんだと理解できました」と告白。依存症と真正面から向き合うようになった理由については、「大きなきっかけは逮捕されたこと」と断言した。そして「自分が立ち直っていく上でどういうことをすればいいのかと考えた中で、薬物専門の病院に通うと自分で決めました」と明かした。

 最も強調したのは、周囲のサポートについて。「薬物を使っている時は薬物を使うためにウソをつき、自分をどんどん追い詰めていった。苦しみの日々でした」と回想しながら「自分はいろんな人に支えられています。身近な人に正直にものが言えることが自分が今、変わったこと。今、自分が苦しいんだ、つらいんだ、と言える環境にあることがいちばん大きいことだと思っています」。

 トークセッションは約5分という短い時間だったが、これは負担にならないようにと主催者側が配慮したもの。清原氏側から提示した出演条件ではなかったという。「短い間ですいません。ありがとうございます」。頭を下げてステージを去る際には、複数の女性から「清原さ~ん」の声が飛んだ。

 ◆清原 和博(きよはら・かずひろ)1967年8月18日、大阪府岸和田市生まれ。51歳。PL学園高では5季全て甲子園に出場。史上最多の通算13本塁打を記録し、1年夏と3年夏に全国制覇。85年ドラフトで西武に1位指名されて入団。96年オフにFAで巨人移籍。2004年に通算2000安打、05年に通算500本塁打達成。05年オフにオリックスに移籍し、08年引退。引退後は野球評論家やタレントとして活動。

 ◆松本医師「治療が順調だから出演できたのでは」

 治療の継続を明かした清原氏。しかし、厚労省の調べによると、覚醒剤事件の再犯率は64・5%(2015年)に上るという現実もある。昨年9月に女優・三田佳子(77)の次男・高橋祐也氏(39)が再犯により4度目の逮捕、起訴された事件も記憶に新しい。トークセッションの相手を務めた国立精神・神経医療研究センターの医師・松本俊彦氏はイベント中にも「薬物依存症に完治はない」と警鐘を鳴らした。

 松本氏は初対面の清原氏を「とても真面目で真摯(しんし)な方。真摯であるからこそ思い詰めてしまったのかもしれない」と印象を語った。昨年、清原氏の著書「告白」を読み「自分と向き合って、治療プログラムを受けているな」と感じたため、今回の出演をオファーしたという。

 「治療がうまくいっているからこそ出てこられたのではないでしょうか。自分のことを話すのは回復のためにすごく大事なこと」と見解を述べ、「(今後も)やめ続けていることを見てもらうことは清原さんにとって励みになるはず」と人前に出ることを推奨した。

 ◆清原氏の逮捕後の経緯

 ▼2016年2月2日 警視庁が覚醒剤取締法違反(所持)で現行犯逮捕

 ▼23日 同法違反(使用)容疑で再逮捕

 ▼3月17日 保釈金500万円で保釈、入院

 ▼4月1日 東京地検が覚醒剤取締法違反(譲渡)の罪で追起訴

 ▼5月17日 東京地裁で初公判。傍聴席20席に対し、希望者3769人。倍率は地裁史上3位の188倍

 ▼31日 判決公判。懲役2年6月、執行猶予4年の有罪判決

 ▼6月15日 検察側、弁護側とも控訴せず、判決が確定

 ▼12月29日 TBS系「ニュースキャスター」にVTR出演し、選手時代に「グリーニー」と呼ばれる興奮剤を使用したことを告白

 ▼17年4月11日 知人男性の通夜に参列し、報道陣の取材に応じる

 ▼7月27日 半生や薬物についてつづった著書「告白」出版

 ▼18年8月21日 100回記念の全国高校野球選手権大会決勝の大阪桐蔭対金足農戦を記者席から観戦

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