作業着貸したリフォーム会社社長、コスプレ保釈に仰天…ゴーン被告変装の裏側語る

スポーツ報知

 6日に保釈された日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(64)が、東京拘置所から出る際に着用した作業着と移動に使った軽ワゴン車を手配した埼玉県内のリフォーム会社の社長が7日、スポーツ報知の取材に応じ、前代未聞の変装保釈の裏側を語った。6日朝に担当弁護士からの電話で「作業着を拘置所まで持ってきてくれ」と依頼があり、知り合いの塗装会社のワゴン車で拘置所に到着。この車にゴーン被告が乗り込んだ時の様子についても明かした。

 左胸に「○○(実際は社名)ハウジング」と書かれた紺色の厚手の作業着。ゴーン被告が拘置所を出る際に着用した変装グッズは、埼玉県内のリフォーム会社が用意したものだった。同社の社長は「もともとの知り合いだった弁護士から当日午前中に電話がかかってきて、作業着を貸してくれないかと言われた」と説明。用途などは詳しく聞かなかったが「拘置所と聞いて、うすうすゴーン被告関連かなとは思った」という。

 社長はすぐに作業着3着を用意したが、「私は足が悪くて移動が難しかった。それで近くの塗装会社に電話連絡して、車に乗っけてよって頼んだんです」。その車が、ゴーン被告が乗り込んだスズキのシルバーの軽ワゴン車だった。

 午後に埼玉県内の会社を出発し、拘置所に到着するとしばらく待機した。やがて、作業着姿のゴーン被告が玄関に姿を見せると、直前に乗り付けられた黒塗りの大型ワゴンには見向きもせず、軽ワゴンに乗り込んできた。車はゴーン被告を乗せて都内の弁護士事務所へ向かった。車内での様子について「中でも特に何も話さなかった」と明かした。

 全てが終わった後、社長は弁護士から「取材が来ても何も言わないでほしい」と口止めされたという。「でもまあ電話とかじゃんじゃん来るんだから、話さざるを得ないですよね」と苦笑い。一方で結果的に車両を提供することになった塗装会社は「何もお話しできません」とノーコメントを貫いた。

 この変装脱出劇について、弁護団の弘中惇一郎弁護士はこの日夜、「保釈後の住居をマスコミに知られたくなかったから」と理由を説明。保釈に立ち会った別の弁護士が提案し、ゴーン被告が面白がって応じたという。しかし、弘中弁護士は「結果的には失敗だった」と振り返った。

 弁護団はこの日、記者会見の時期などについての話し合いを行ったが、ゴーン被告の体調が万全でなく、開催は来週以降になるとの見方を示した。

 検察も事件を指揮してきた東京地検特捜部の主任検事を11日付で公判を担う特別公判部に異動させ、態勢を強化する。弁護団によると、特別背任事件の公判に向けた進行協議が東京地裁で8日に開かれる。

 ■作業帽日本電装もガーン「関係なく正直迷惑」

 ゴーン被告が保釈時にかぶっていた作業帽を作った埼玉県川口市の鉄道車両整備会社「日本電装」の関係者は「テレビで見て本当に驚いた。全く関係がなく、正直言って迷惑」と話した。円の中に「N」の文字が入った帽子は、3年ほど前まで同社で製作していたもの。現場で働く社員のほか、同社の仕事を請け負う会社に配布していたが「現在は安全面から布製の帽子ではなくヘルメットの着用を義務づけているので使用していない」という。

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