「世界が尊敬する日本人100人」の吉岡徳仁氏がデザイン「桜の新幹線聖火」

スポーツ報知

 2020年東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会は20日、五輪の聖火リレーで使われるトーチを発表した。日本を象徴する桜をモチーフにデザインされ、素材のアルミの3割には、東日本大震災で岩手、宮城、福島の3県の仮設住宅の廃材を再利用。新幹線の車両製造に用いられている最先端のアルミ精製技術を活用し、五輪史上初の「つなぎ目のない、ひとつなぎのトーチ」が実現した。火が消えないよう燃料システムも工夫。「桜の新幹線聖火」が、来年3月26日から福島・Jヴィレッジでスタートする聖火リレーを彩る。

 今回のトーチは、世界的デザイナー吉岡徳仁(とくじん)さん(52)が企画・デザインした。2007年には米ニューズウィーク誌による「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれた、業界のトップランナーだ。吉岡さんのデザインは、複数の候補から有識者による2回の審査会を経て選ばれた。

 かつて三宅一生氏らからデザインを学び、00年に吉岡徳仁デザイン事務所を設立。自然をテーマに、光などの要素を取り入れた作品を精力的に作り続けている。「紙の椅子」のニューヨーク近代美術館をはじめ、仏オルセー美術館など有名美術館に作品が永久所蔵されている。

 トーチは、数年前に福島・南相馬の小学校を訪問した際に着想したもの。吉岡さんは「その時に小学生が描いた桜の力強い絵を見て、このような聖火ができたらと思った。デザイン以前に子供たちに喜んでもらえるものを作りたかった」と話す。東京大会のトーチは、被災地の思いと子どもたちの夢を乗せて作られたものでもあった。

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