ワニにむらむら「結婚したい」板垣巴留さんは、ちょっぴりヘンなフツーの人

2018年7月17日12時0分  スポーツ報知
  • 顔出しNGのため、自らの著書で隠しながらの撮影となった「BEASTARS」著者の板垣巴留さん

 女性漫画家・板垣巴留(ぱる)さん(24)の連載デビュー作「BEASTARS」の勢いが今、ものすごい。今年に入って「マンガ大賞2018」や「第42回講談社漫画賞少年部門」など、権威ある賞を総ナメ。単行本は累計150万部を突破、6日には第9巻も発売された。24歳にして掲載誌「週刊少年チャンピオン」の看板となった板垣さん。人となりを聞いてみると、「ちょっぴりヘン」な「フツーの人」だった。(樋口 智城)

 「BEASTARS」は、肉食獣と草食獣が人間と同じように生活・共存をする架空世界が舞台。ハイイロオオカミの少年レゴシを主人公に、全寮制の高校へ通う動物たちの群像劇を描く。2足歩行の動物しか出てこない独特の世界観。この発想はどうやって生まれたのだろうか。

 「昔から動物が大好きで、子どもの時にクレヨンを持つと絵とか描いてました。もう私の根底に流れているテーマみたいなものなんですよ」

 動物愛は相当のもの。

 「昔から他の人とは見る目が違いまして。ヘンなふうに…性的な目で見てました」

 性的な目…とは?

 「例えば『ライオンキング』の悪役に恋に落ちたり。かわいいとか飼いたいとかじゃない感情が湧くんです。工場を見てむらむらするおじさんとかと似ているんじゃないですかね~」

 愛情の注ぎっぷりは、いまだに変わっていない。

 「今は、は虫類にむらむらです。この前、取材に行ったワニには特別な感情が…。仮に結婚したとしてもコミュニケーションをとれないのでかなわない思いではあるんですが、一緒になれれば素晴らしいなあと」

 まさかの結婚前提ラブ。ワニのどこに恋する要素が?

 「大きくて、ポーカーフェース。人間の体にはない素材で覆われている皮膚がイイですね。そして、本気になったらスゴイ動きをするんだろうなと思うと…」

 動物と同じように、人間にはむらむらしないのだろうか?

 「動物並みにキャラが立ってないと、すぐに魅力に気づけないんですよ。素早く恋に落ちるのはやっぱり動物ってなりますね」

 板垣さんは、武蔵野美術大の映像学科出身。映画好きで、映画関係の仕事を夢見て入学した。

 「授業でいろいろ学んだんですが、ものすごい大変なんだと察知いたしまして。お金がかかるし人も使う。どれだけ労力がいるんだと。私にはできないと思いました」

 そこで、ふと思ったのが漫画。もともと趣味でストーリー漫画を描いており、映画と近いことが紙とペンでできると考えた

 「話はずっと考えていたので、やれるかもしれないと。そこで『チャンピオン』さんに持ち込みしたんです」

 2016年3月、大学4年生の時に就職活動と並行して描いた読み切り漫画が同誌に掲載され、デビュー。

 「それでも本格的に漫画家になる決意まではしていなかった。一回就職してから落ち着いて再チャレンジしようと思ってました」

 ところが就活でつまずく。

 「葬儀屋さんとか製薬会社の受付とか10数社くらい受けたんですけど、全部落ちました。受かったら大喜びで就職してたんですけど」

 失意も束の間、読み切りを担当していた編集者から週刊連載の話が舞い込んだ。

 「『できる?』と言われて、すぐ『できます』。就活しながら読み切りを描いていたことで、『手が早い』自信があったんです」

 そこで描き始めたのが「BEASTARS」。16年9月に連載が開始され、特殊な世界観、迫力ある絵、心の内面をも描き込むストーリーが受け、新人漫画家として例を見ない大ブレイクとなった。就活の挫折から2年。生活が一変した実感はあるのだろうか。

 「そうそう、最近私、『クナイプ』という外国産の入浴剤を使うようになったんです。1000円以上するものなんですが、難なくカゴに入れたりする時に『ああ、私変わったなあ』って感じちゃいますね~」

 ◆板垣 巴留(いたがき・ぱる)1993年9月9日、東京都生まれ。24歳。16年3月に「週刊少年チャンピオン」で読み切り「BEAST COMPLEX」が掲載され漫画家デビュー。同年9月、同誌で「BEASTARS」の連載を開始した。同漫画で18年に「文化庁メディア芸術祭マンガ部門」新人賞、「マンガ大賞2018」大賞、「第22回手塚治虫文化賞」新生賞、「第42回講談社漫画賞少年部門」受賞。

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