【有森裕子コラム】「運転手さん」ではなく実際の名前で信頼関係を

2017年11月12日15時0分  スポーツ報知

 ちょっと前のことですが、高速道路の追い越し車線に車を停車させたことが原因の死亡事故が報じられました。それ以外にも、最近は単純な衝突などではない、痛ましい交通事故が多く発生しています。

 私も、かつてのアメリカ在住時には車を運転していました。アメリカは道路が広いので運転がしやすかったですし、何より車に乗らないと生活が不便だったからです。ただ、帰国してからは都内の公共交通機関が充実していることや、時間を読みにくい乗用車に乗る必要がないとの思いから、日本の免許を取りませんでした。実家に帰った際には時々、不便さを感じることもありますが…。

 ということで、現在はタクシーに乗る機会が多いのですが、何度か怖い思いをしました。自分が乗っている車だけでなく、周囲の反応にヒヤリとさせられたりもします。その時に感じるのは、運転をする人に余裕がないというか、短気になっているということです。

 交通事故ゼロは究極の理想ですが、それはなかなか難しい。とはいえ、最近取り上げられている事故は明らかに防ぐことができるというものが多い。起こるはずのない人的事故というか、モラルのなさから発生していると思います。現在、開発が進められている車の技術の中で「無人運転」があります。完成すれば「うっかり事故」のようなものは減るでしょう。でも、先日のような精神的に起こされたケースは減らせないのではないでしょうか。

 精神的なケアというわけではありませんが、私が心掛けているのは、タクシーに乗った時には運転手の方と話をする時には「運転手さん」ではなく「〇〇さん」と呼ぶこと。そうするとドキッとされる方が多いですし、ピシッと背筋が伸びた感じになる人もいます。簡単なことではありますが、運転手の方と信頼関係を結ぶのにはいい方法ではないかと思っています。(女子マラソン五輪メダリスト)

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