【有森裕子コラム】パワハラ&セクハラ、国内に理解が進むように声を上げていきたい

2017年12月10日12時0分  スポーツ報知

 最近、女性に対するパワハラやセクハラの問題が世界中で続出し、話題となっています。芸能界から大企業、果てはノーベル賞の関係者まで…。ツイッターの「#MeToo」というハッシュタグを付けた告発の動きを知っている方もいるのではないでしょうか。

 残念ながらスポーツの現場でも、これは起こり得ます。実際に先日、米国の元女子体操選手が医師などからセクハラを受けていたと告白しました。陸上界でも同様の話を聞いたことがあります。往々にしてスポーツ界ではコーチや監督が“加害者”となり、選手側が去っていかなければならない状況です。

 ところが、女性が声を上げる流れに対し「騒いでも仕方ないのでは」と考える人が、女性の中にもいることを知って驚きました。もちろん、何でも訴えればいいというわけではありません。ただ、女性がもっとこの問題に関心を持ち、当事者意識を持たなければ、正しい方向には進んでいきません。その意味では、女性の側にも「原因」があるともいえます。

 この無関心の状態が続いたまま、2020年の東京五輪・パラリンピックを迎えることに、私は怖さを感じてもいます。確かに最近はダイバーシティー(多様性)という考えが広がってきました。パラスポーツが注目され、障害者の方への理解も進んできました。それは素晴らしいことですが、その進め方が偏っているような気がするのです。

 私の根本的な考え方は「スポーツは社会とつながっている」というもの。一部の人だけが参加している場所の中だけで解決しようとしても、それは「特殊だから…」と見られてしまい、社会一般には浸透しない。昨今の動きのように、狭いコミュニティーから世界に広がっていくことが大切でしょう。

 その意味で、日本は後れを取っていると言えます。「スポーツを通じて社会を考える」という活動をしている立場として、私も国内に理解が進むように声を上げていきたいと思います。(女子マラソン五輪メダリスト)

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