【有森裕子コラム】西野ジャパンに学ぶ「魅せる」意識

2018年7月2日15時0分  スポーツ報知
  • 西野監督

 世間は現在、サッカーW杯一色。日本の決勝トーナメント進出が決まったことは喜ばしいですし、テレビ中継では、観客の熱狂の様子が伝わってきました。それを見て、ふと考えたのが、先月22日から3日間にわたって山口県で開催された陸上の日本選手権のことです。

 大会では男子110メートルハードルと男子円盤投げの2種目で日本新を更新。また、男子100メートルでは山県亮太選手が5年ぶりの優勝を飾るなど、トピックのある大会となりました。男子100メートルの決勝が行われた23日の夜は、競技場は満員となる大盛況。私が現役の頃と比べると、観客の多さに驚かされました。

 最近、陸上の大会では入場や選手紹介の方法を変えたり、競技場内に音楽を流すなどの工夫が加えられるようになりました。今大会では、100メートルの選手がスタート地点に向かう際、スタンド前を通って“顔見せ”ができる動線にしていましたが、これもファンサービスになったかと思います。また、パラ種目を公開競技として行い、観客に関心をもってもらおうという取り組みもされています。前向きな変化は歓迎すべきことですが、同時にまだまだ改善の余地があるようにも思います。

 プロ契約をするアスリートが増えてきている中で、自身が「プロ」であることを認識し、努力をしているのか。好記録や成績を出すことは当然の上で、「魅(み)せる」ことを考えているのか。周囲の環境作りも重要ですが、それに併せた選手自身の意識改革も必要でしょう。

 サッカーの日本代表がサポーターの応援に励まされて結果を残すのと同様に、陸上でも競技場内の盛り上がりは選手の成績向上につながると思います。そして、成績が良くなり、世界でも戦える選手が生まれれば、さらにファンが増えることでしょう。その「相乗効果」が成熟しているサッカーの試合を見て、陸上も見習うことが多々あるのでは…と感じました。(女子マラソン五輪メダリスト)

有森裕子
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