【佐藤優コラム】安倍首相3選で北方領土問題を日本外交の好機に

2018年9月24日14時0分  スポーツ報知

 20日に行われた自民党総裁選挙で、安倍晋三首相が石破茂氏を破り、当選した。これで安倍政権が存続することになった。安倍首相は、これから外交にシフトしていくことになると思う。そこで注目されるのが北方領土交渉だ。

 9月12日、ロシアのウラジオストクで行われた極東経済フォーラムの席上、ロシアのプーチン大統領が、今年中に日本との平和条約を締結しようと提案した。日本の報道によると、プーチン大統領が、突然、北方領土交渉を先送りして、平和条約を締結するという変化球を投げてきたと受け止める内容のものが多いが、それは間違った解釈と思う。まず、プーチン大統領が「1956年の日ソ共同宣言は、調印しただけでなく、日本とソ連の双方で批准された」と述べていることに注目する必要がある。日ソ共同宣言の9項では、平和条約締結後にソ連(ロシア)が日本に対して歯舞群島と色丹島を引き渡すことを約束している。

 本年中、歯舞群島と色丹島の主権は、日本に、国後島と択捉島の主権はロシアに帰属させる平和条約を締結することは、安倍首相とプーチン大統領が決断すれば十分可能だと思う。この平和条約に、「歯舞群島と色丹島の引き渡しに関する協定は、協議を継続した上で策定する」と定める。そうすれば、法的には歯舞群島と色丹島が日本領であることが確定し、領土の帰属に関する問題が解決する。そして安倍晋三という名が北方領土問題を解決した首相として歴史に残る。

 プーチン大統領は、歯舞群島と色丹島を日本に引き渡しても、米軍がそこに展開するような事態にはならないという言質を日本から取ったので、年内平和条約締結を提案したのだと思う。

 平和条約が締結されれば、国後島と択捉島に対するロシアの統治を合法と認めた上で、両島の土地の一部を賃借し、そこに日本が独自の規則を制定し、経済活動を行う可能性が生まれる。こういう形で国後島と択捉島に日本の影響力を及ぼすことができる。日本外交に絶好のチャンスが訪れている。(作家、元外務省主任分析官)

佐藤優
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