【有森裕子コラム】アスリートが考えるべき引退後の「ネクストステージ」

2018年12月3日12時0分  スポーツ報知

 先月9日に、米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツさんと共に都内で行われた会見に出席する機会がありました。

 これは、彼が運営する「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」が、日本のスポーツ庁と共にSDGs(持続可能な開発目標)達成のためのパートナーシップ協定を締結したことを発表したもの。スポーツ選手がさまざまな形で参加し、貧困の撲滅などの活動に参加することを目的としています。また、スポーツ庁はこの活動の一環として、2020年の東京五輪・パラリンピックに合わせ、「アワー・グローバル・ゴールズ」と名付けたプロジェクトをスタートさせることも明言しました。

 会見で私は、カンボジアでの活動を続けるNPO法人「ハート・オブ・ゴールド」のことなどを話したのですが、ゲイツさんが「SDGs達成に向けた、いい例を聞かせてもらった」と関心をもっていただいたことが印象的でした。

 スポーツ選手がアンバサダーを務めるというのは、活動を進め解決に向けていく上で大切な広告塔になると考えています。ただ、現在の日本では課題も多いというのが現実です。「困っている人のためとはいえ、力を費やすことで、自分の人生は大丈夫なのか?」と不安と考えるアスリートが多いのは確か。金銭面も含め、リスクを負わないといけないという点があります。

 その点で、今回の協定を通じてスポーツ庁がアスリートの「価値」を再確認し、それを生かす方法をともに考えるきっかけにしてくれればと思っています。また、アスリート自身も競技者としての“ゴール”を迎えた後に何ができるかを考えてほしいと思います。引退をした選手に対して「セカンドキャリア」という言葉を使うことがありますが、むしろ現役時代を下地にした「ネクストステージ」をどう歩むかという感覚を持ってほしいですね。(女子マラソン五輪メダリスト)

有森裕子
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