【巨人特集】契約白紙からはい上がる上原浩治の覚悟<2>人生初の手術からの再契約
スポーツ報知

大リーグから巨人に電撃復帰し1シーズンを駆け抜け、一度は契約白紙となりながら、再び巨人に戻って19年シーズンに臨む上原浩治投手(43)。スポーツ報知では「契約白紙からはい上がる上原浩治の覚悟」と題して、球界最年長右腕の特集を全3回でお届けします。第2回は「人生初の手術からの再契約」。(ペン・柳田 寧子、カメラ・杉山 彰一)
全身麻酔の術後、ぼんやりと目覚める感覚は気持ちが悪かった。上原にとっては、人生初の手術。「想像以上にしんどいな。全く足が上がらないし、自分の足じゃない感じ」。消毒液の臭いが漂う病室は長居する場所でもない。「一刻も早く逃げ出したかった」
翌日の退院。医師が勧める松葉づえも拒んだ。自ら歩いて、迎えの車に乗り込んだ。「松葉づえって、1万円(貸し出しに)取られるから、いいや、と思って」笑い飛ばしたのは、リップサービス。「松葉づえついて歩いた方が、なんか変な歩き方になるような気がして」本当は不安につぶされそうだった。
ついつい、置き場のない手を左膝に持って行ってしまう。まるで自分の膝に「早く良くなれ」とおまじないを掛けているかのよう。
思うように動かない体は、環境の変化を欲した。
術後の最初の検診が終わると、はやる気持ちを抑えられないかのように、家族の待つ米国へ飛んだ。術後4日目のことだった。