第9回受賞者(2007年) 横浜・三浦大輔

2007年11月16日6時0分  スポーツ報知

第9回受賞者(2007年) 横浜・三浦大輔
 プロ野球人の社会貢献活動を表彰する報知新聞社制定「第9回ゴールデンスピリット賞」の表彰式が15日、東京・虎ノ門のホテルオークラで行われた。子供たちとの地道な触れ合いを評価され、受賞した横浜・三浦大輔投手(33)は、急性リンパ性白血病を患い、9月17日に7歳でこの世を去った緒方大和(やまと)くんの両親から感謝の手紙をもらい、大粒の涙を流した。できる限り現役でプレーし、子供たちに夢を与え続けることを誓った。また三浦が続けている、夢について語り合う「訪問授業」の新プロジェクトも明らかにした。
 感情を抑えきれなかった。三浦の目頭が徐々に熱くなっていく。「すいません…」ひと呼吸おいた。そして「小さな体でしたけど、大和は病魔と必死に闘った。来年、自分が頑張っている姿を大和に見せられたらな、と思います」と声を震わせた。急性リンパ性白血病を患い、再発を重ねて7歳でこの世を去った緒方大和くんとの思い出が頭の中を駆け巡った。司会者が大和くんの両親から預かった感謝の手紙を読み上げると、三浦の目から大粒の涙がこぼれた。

 式も終わりにさしかかったころ。壇上横に設置された大型スクリーンに、大和くんと三浦が写っている写真が映し出された。知人を介して、大和くんと知り合い、今年3月20日に初めて顔を合わせた。キャッチボール、横浜スタジアムで一緒に乗ったリリーフカー。そこには笑顔の大和くんがいた。「三浦投手、おめでとう。大和、これからも番長のこと応援してるから頑張って下さい」手紙の最後に付け加えられた“天国からのメッセージ”に会場中が感動に包まれた。式終了後、大和くんの遺影を手渡されると、三浦のほおを再び涙がつたった。

 今回の受賞で三浦は決意を新たにした。200万円が受賞者の指定する団体などに贈られるが「子供だけでなく、いろいろな人のためになるよう使っていただきたい」と要望。阿部雄二賞として三浦に贈られる100万円も、ファンが喜んでくれるイベント開催の資金にすることを明言した。

 「(横浜)選手会のみんなや横浜市の方々が協力してくれたからできた。僕ひとりじゃ何もできなかった」三浦は05年から横浜市内の小学校訪問を始めた。これに刺激され、横浜選手会全体が動き出した。子供たちと夢について語り合う「星に願いを」プロジェクト。社会福祉協議会にシーズンシートを寄付し、障害者を自費で球場に招待した。そんな経緯を振り返り、受賞の喜びを、より多くの人と分かち合うことに決めた。

 目標も定めた。横浜市内の市立小学校全270校で「訪問授業」をすることだ。これまで1年間で9校訪問、3年間で27校になった。それでもまだ全体の10分の1だ。“完全制覇”するには、単純計算であと27年はかかる。「仲間と徐々に行く回数を増やしたい。50歳まで現役? やれるものなら、やりたい」と苦笑いを浮かべながら話した三浦。できる限り現役でプレーし、子供たちに夢を与え続けることを誓った。

 ◆三浦大輔(みうら・だいすけ)1973年12月25日、奈良県生まれ。33歳。高田商から91年にドラフト6位で大洋(現横浜)に入団。98年にはエースとしてリーグ優勝と日本一に貢献。04年のアテネ五輪では日本代表として銅メダル獲得。05年は最優秀防御率、最多奪三振のタイトルを獲得。通算365試合に登板して117勝112敗、防御率3.55。183センチ、88キロ。右投右打。妻と1男1女。

 ◆受賞理由 三浦は05年から横浜市内の小学校を訪問し、子供たちと夢を語り合う「星に願いを」プロジェクトを発案した。また社会福祉協議会にシーズンシートを寄付、障害者を自費で球場に招待。特に「星に―」は横浜選手会、地域にまで広がりを見せたことが評価された。

 ◆城彰二氏らと協力全国で「夢の教室」

 三浦が、新プロジェクトを明らかにした。「訪問授業」を横浜市内の小学校に限定せず全国に広げ、他の競技のプロスポーツ選手と協力しあいながら行うプランだ。

 「僕だって小さいころは野球だけじゃなくて、違うスポーツにも興味あった」子供たちが、いろんなジャンルのプロ選手と触れ、自分の持つさまざまな可能性を見つけてもらうことが狙い。今回の受賞理由も自身の活動が、横浜選手会、地域へと広がりを見せたことだった。「星に願いを」という運動は今後も継続し、三浦独自で、他のスポーツ選手と“合体”し、小学校を訪問する。

 きっかけは日本サッカー協会(JFA)が行っている「こころのプロジェクト」だった。現役Jリーガーが、違うジャンルのスポーツ選手とともに学校で授業を行っている。夢や目標を持つことの素晴らしさや、それに向かって努力することの大切さなどを触れ合いながら伝えていく「夢の教室」という存在を知った。

 さっそく20日には、元サッカー日本代表の城彰二氏(32)とともに“先生”になることが決定。JFA関係者は「三浦さんがこのプロジェクトをきっかけに、幅を広げていただけたらうれしい」と話している。三浦は、これをステップに“夢の輪”の拡大を目指していく。

 ◆ゴールデンスピリット賞 日本のプロ野球球団に所属する人の中から、積極的に社会貢献活動を続けている人を表彰する。毎年1回、選考委員会(委員名別掲)を開いて、自薦、他薦で選ばれた候補者の中から1人を選定する。欧米のスポーツ界では社会貢献活動が高く評価され、中でも米大リーグの「ロベルト・クレメンテ賞」が有名で、球界での最高の賞として大リーガーのあこがれの的になっている。日本では試合での活躍を基準にした賞がほとんどで、球場外の功績を評価する表彰制度は初めて。いわば「球場外のMVP」。受賞者にはゴールデントロフィー(日本芸術院会員・東京芸大・絹谷幸二教授制作のブロンズ像)と阿部雄二賞(100万円)が贈られる。また、受賞者が指定する団体、施設などに報知新聞社が200万円を寄贈する

 ◇選考委員(敬称略、順不同) 根来泰周(プロ野球コミッショナー)、豊蔵一(セ・リーグ会長)、小池唯夫(パ・リーグ会長)、長嶋茂雄(読売巨人軍終身名誉監督)、佐山和夫(作家)、小松崎和夫(報知新聞社社長)

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