第11回受賞者(2009年) 巨人・小笠原道大

2009年10月29日6時0分  スポーツ報知

第11回受賞者(2009年) 巨人・小笠原道大
 プロ野球人の社会貢献活動を表彰する報知新聞社制定「ゴールデンスピリット賞」の第11回受賞者が28日、巨人・小笠原道大内野手(36)に決定した。日本ハム時代の2000年から自宅のある千葉・市川市の社会福祉協議会へ寄付を続け、巨人移籍を決めた直後の06年12月には北海道家庭生活総合カウンセリングセンターへ500万円を寄付。昨年からは小児がん患者らを支援している。表彰式は11月16日にホテルオークラ東京で行われる。
 思わず涙がこみ上げた。小笠原はサプライズゲストの登場に目を丸くした。昨年8月、国立成育医療センター・小児がん病棟を訪問したのを機に交流を持った子供たちがお祝いに駆けつけてくれた。「ちょっと胸が熱くなった。元気な明るい笑顔が見られてよかった」。少しでも力になれれば、と始めた社会貢献活動の意義をしみじみと実感した。

 多彩な活動が評価された。「背伸びしないで、できることからやっていこう」。日本ハム時代の2000年から球場外での活動に目を向けた。子供たちを支援する一方で、その笑顔をパワーに変えてきた。「励みになるし、それで頑張ることが恩返しにもなると思う」。7年ぶりの日本一奪回に貢献できたのも、たくさんの応援があってこそ、だった。

 地道に活動を続けてきた。「評価されるためにやっているわけじゃない」と表に出ることを遠慮してきた。しかし、この日の表彰式では改めて多くの関係者から感謝の気持ちを伝えられた。選考委員の佐山和夫氏からは「大スターとして、一個人を超えた存在として、社会に(活動を)知らせていただきたい。若い方々が、そういう姿を見て考えてくれるようになる。それが社会の大きな力になる」と言葉を贈られた。

 “伝道師”となることを決意した。「名誉ある賞を頂き、責任を感じた。チームに限らず協力しあって、若い選手には少しずつ教えて、活動を継続していきたい」。何度も「責任」という言葉を繰り返した。

 「1人でも多くの子供たちの笑顔が見たい。自分たちが活動することで、それがクローズアップされれば、笑顔が増えると思う」。来季は巨人移籍後初めて、東京Dに「小笠原シート」を設置することを決めた。栄えある受賞を糧に、ガッツは球界の社会貢献活動を牽引(けんいん)していく。(安室 朝雄)

 ◆小笠原 道大(おがさわら・みちひろ)1973年10月25日、千葉県生まれ。36歳。暁星国際高(千葉)からNTT関東を経て、96年ドラフト3位で日本ハム入団。02、03年に首位打者を獲得。06年は打点、本塁打の2冠。07年、巨人にFA移籍。通算成績は1582試合に出場。打率3割1分7厘、337本塁打、1021打点。178センチ、83キロ。右投左打。家族は妻と2女。

 ◆選考経過 2000年から、自宅のある千葉・市川市の社会福祉協議会へ総額700万円を超える寄付を続けてきた。巨人移籍直後の06年12月には、北海道家庭生活総合カウンセリングセンターへ500万円を寄付。08年8月、知人の紹介で国立成育医療センター・小児がん病棟を訪問したのを機に、小児がん患者と、その家族を支援するNPO法人・タイラー基金への協力を決めた。09年春には、東京・世田谷区内にオープンした小児がん患者と家族のための滞在施設「シャイン・オン!ハウス」に家電製品や、折れたバットを加工した積み木などを贈った。その継続性が評価され、全会一致で受賞が決定した。

 ◇選考委員(敬称略・順不同) 加藤良三(プロ野球コミッショナー)、長嶋茂雄(読売巨人軍終身名誉監督)、佐山和夫(作家)、長尾立子(学校法人日本社会事業大学理事長)、平尾昌晃(歌手、作曲家)、岸洋人(報知新聞社社長)

 ◆ゴールデンスピリット賞

 日本のプロ野球球団に所属する人の中から、積極的に社会貢献活動を続けている人を表彰する。毎年1回、選考委員会(委員名別掲)を開いて、自薦、他薦で選ばれた候補者の中から1人を選定する。欧米のスポーツ界では社会貢献活動が高く評価され、中でも米大リーグの「ロベルト・クレメンテ賞」が有名で、球界での最高の賞として大リーガーのあこがれの的になっている。

 日本では試合での活躍を基準した賞がほとんどで、球場外の功績を評価する表彰制度は初めて。いわば「球場外のMVP」。受賞者にはゴールデントロフィー(東京芸大・絹谷幸二教授作製のブロンズ像)と阿部雄二賞(100万円)が贈られる。また、受賞者が指定する団体、施設などに報知新聞社が200万円を寄贈する。

 ◆阿部雄二賞 2001年4月9日、本賞を第1回から協賛しているサァラ麻布(株式会社サァラ)の代表取締役社長・阿部雄二氏が逝去。同氏は本賞の協賛をはじめ、長年にわたり財団法人報知社会福祉事業団、ユニセフ(国連児童基金)等に寄付を続けてきた。サァラ麻布は同氏の遺志として3000万円を報知新聞社に寄贈、同賞の充実、発展を希望。報知新聞社はその遺志を尊重し、長く後世に伝えるため「阿部雄二賞」を創設し、受賞者に特別賞として100万円を贈っている。

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