【1999年】武蔵丸 優勝4回最多の70勝で初受賞

やったぜ!初受賞に喜ぶ武蔵丸に、インディアンも大喜び?(沖縄・糸満市のひめゆりパークで) やったぜ!初受賞に喜ぶ武蔵丸に、インディアンも大喜び?(沖縄・糸満市のひめゆりパークで)
 報知新聞社制定の1999年度・第42回報知年間最優秀力士が20日、横綱・武蔵丸光洋(28)=本名同じ、武蔵川=に決まった。東京・芝公園の東京プリンスホテルで開かれた選考委員会で、今年の優勝回数、勝率、相撲内容などを慎重に審議した結果、満場一致で決定した。武蔵丸は初の受賞。表彰式は来年1月9日、大相撲初場所(東京・両国国技館)初日の中入り取組前の土俵上で行われ、“黄金の表彰状”と賞金100万円、副賞としてキヤノンカメラが贈られる。
◆最強の証明 「人生で一番いい年」

 キエーッと雄たけびを上げて初の“MVP”受賞を喜んだ。緑のアロハ柄の浴衣を着こなす国際派横綱・武蔵丸。横綱土俵入りのせり上がりのときには、ついつい腰を振ってフラダンスみたいになってしまうが、いいじゃないか、強いんだから。春、夏連覇で第67代横綱に昇進。年間最多の70勝で4場所制覇。文句なしの最強横綱だ。

 「今までの人生で一番いい年やった。綱を取ったもんな」そんな横綱にも怖いものがあった。一番怖いのは師匠・武蔵川親方(元横綱・三重ノ海)。次に「体重を聞かれること」、そしてヘビ。この3つを克服した1年でもあった。

 秋場所前の横綱審議委員会けいこ総見のとき。左股(こ)関節痛でけいこを3番しかできずに帰った武蔵丸の背中を、師匠は木刀で一撃した。横綱になっても新弟子のころと変わらぬ怖さを痛感した。その親方が目を細めた。「年間最優秀力士賞か。オレも24年前に取った賞だな。今年はマル(武蔵丸)にとって一皮むけた年だったな」と珍しくまな弟子を褒めた。

 体重は綱取りのキーワードだった。昨年までの3度の優勝はいずれも200キロ前後で達成していただけに、220キロを超えた昨年末にダイエットを宣言。だが20キロを絞るのは難しく、体重を聞かれても口を閉ざし続けた。220キロオーバーで4度の優勝、綱を締めた今、胸を張ってこう言う。「正直に言うと今は223キロ。これがベスト体重だよ」

 今年最後の巡業を終えた武蔵丸は、沖縄・玉城村のハブ公園に出かけた。南国育ちながら、大のヘビ嫌い。勇気をふりしぼってニシキヘビをつかんだ。「気持ち悪いけど(皮の)財布みたいなもんやな」28年間抱き続けていた恐怖心が消えた。「来年はもっと勝って、もっと強くなりたい」何も恐れず綱の道を進む武蔵丸は21日、東京・東日暮里の武蔵川部屋で綱打ちを行い、2000年の綱を作る。(酒井隆之)

 ◆武蔵丸光洋(むさしまる・こうよう) 第67代横綱。武蔵川部屋。1971年5月2日、ハワイ・オアフ島生まれ。28歳。89年6月に来日し、90年秋場所で初土俵。94年春、大関昇進。96年1月に日本国籍を取得し、本名をフィアマル・ペニタニからしこ名に。今年、春夏連覇で横綱昇進。通算優勝7回。連続勝ち越し55場所は史上1位。今年は報知プロスポーツ大賞と年間最優秀力士賞をダブル受賞。191センチ、223キロ。独身。

 ◆選考経過

 選考委員全員が、武蔵丸を現在の最強力士と認めた。「数字を見ると、はっきりしすぎている。文句のつけようがない」と平山委員。「今年の成績はずばぬけていますね」と安西委員も安定度に合格点をつけた。

 今年の土俵が武蔵丸を中心に回ったのは間違いない。春場所、3横綱が全員休場した非常事態の中、貴ノ浪との大関決戦を制してから明らかに一皮むけた。夏場所後に横綱昇進を果たした後も、休場がちな他の上位陣を尻目に、曙の優勝回数(9回)をも上回る勢い。「肉体的にも、技術的にも第一人者であるのは間違いない」と青木委員。協会の看板としての地位を確立したと言っていい。

 ただし、優勝成績が13勝2回、12勝2回と取りこぼしの多い武蔵丸に対し、有馬委員から「もう一息、頑張ってもらいたい。一度ぐらい、横綱での全勝優勝を」という注文も出た。さらに、貴乃花ら他の力士の不振が目立った今年の大相撲に対し「もう少し日本の力士に頑張ってほしい」(伏見委員)、「小さい人が大きい人を倒してこそ、相撲のだいご味がある」(平山委員)という声も。幸い、貴乃花には復活の兆しがみえている。2000年は、武蔵丸と貴乃花とのハイレベルな争いを期待したい。(草野直樹)

 ◇選考委員 平山郁夫(日本画家)、安西邦夫(東京ガス代表取締役会長)、有馬朗人(前文相・参院議員)、伏見勝(報知新聞社代表取締役社長)、青木辰衛(同東京本社編集局長)=敬称略=

◆武蔵丸の成績

場所 成績
東大関  8勝7敗
東大関◎13勝2敗
東大関◎13勝2敗
名古屋 西横綱 12勝3敗
西横綱◎12勝3敗
九州 東横綱◎12勝3敗

※◎は優勝。

◆年間成績

順位 力士名 所属 成績 勝率
1 武蔵丸 武蔵川 70勝20敗 .778
2 出島 武蔵川 61勝29敗 .667
3 魁皇 友綱 59勝31敗 .655
4 栃東 玉ノ井 53勝37敗 .588
5 土佐ノ海 伊勢ノ海 51勝39敗 .566

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