【2000年】曙が7年ぶり2度目の受賞

報知年間最優秀力士賞に輝いた曙は、クリスマスの飾りの前でガッツポーズ 報知年間最優秀力士賞に輝いた曙は、クリスマスの飾りの前でガッツポーズ
 報知新聞社制定の2000年度・第43回報知年間最優秀力士賞が18日、横綱・曙(31)=東関=に決まった。東京・芝公園の東京プリンスホテルで開かれた選考委員会で満場一致で決定。曙にとっては横綱に昇進した93年以来7年ぶり2度目の受賞となる。表彰式は来年1月7日の大相撲初場所(東京・両国国技館)初日の土俵上で行われ、黄金の表彰状と賞金100万円、副賞のキヤノンカメラが贈られる。
 報知新聞社制定の2000年度・第43回報知年間最優秀力士賞が18日、横綱・曙(31)=東関=に決まった。東京・芝公園の東京プリンスホテルで開かれた選考委員会で満場一致で決定。曙にとっては横綱に昇進した93年以来7年ぶり2度目の受賞となる。表彰式は来年1月7日の大相撲初場所(東京・両国国技館)初日の土俵上で行われ、黄金の表彰状と賞金100万円、副賞のキヤノンカメラが贈られる。

◆腰痛、ひざ痛…進退もかけた 「感無量ですよ」

 地獄のふちからよみがえった。曙にはそんな表現がぴったりだろう。43年の歴史のある大相撲最高峰の年間表彰で、7年ぶりは最長ブランク。「MVPか。7年前は勢いだけだったけど、今年はいろいろあったから…。感無量ですよ」年6場所皆勤、年間最多勝(76勝)、いずれも7年ぶりのことだ。

 曙にとって2000年は苦難のスタートだった。4横綱の中で、初めて最下位の番付となった初場所。1月21日、元小結・板井が八百長告発会見を開く前代未聞の事件に巻き込まれた。一昨年から引きずる腰痛、持病の両ひざ痛に、身も心もボロボロ。昨年から師匠・東関親方(元関脇・高見山)と相談してきた進退問題では「春場所取ってダメだったら」という結論が出た。

 その春場所では、5日目に同期の若乃花が引退を表明。引退会見をテレビで見た曙は「辞める順番が違うじゃないか」と苦笑いしながら、自分を見つめ直した。その結果、4横綱では最高の12勝3敗の成績を挙げ、夏場所で東正横綱の地位を取り戻した。

 名古屋では、横綱として最長ブランクとなる19場所ぶりの優勝。夢だった家族と賜杯を抱いての記念撮影が実現した。九州場所では年間最多勝と2度目の優勝を決めた。

 冬巡業後、曙は家族といっしょにハワイに帰省し、7年前に亡くなった父・ランディさんの墓前に今年の活躍を報告。「入門した時、2000年まで相撲を取るのが目標だった。2001年? 入院しているお母さんから『早くハワイに帰っておいで』と言われたから、来年は日本にいないよ」と冗談で締めくくった。21世紀も曙は東の空に昇る。(酒井隆之)

 ◆曙太郎(あけぼの・たろう) 1969年5月8日、ハワイ・オアフ島生まれ。31歳。東関部屋。米国名はチャド・ローウェン。95年に日本国籍を取得。88年春初土俵。93年初場所後に第64代横綱に昇進。得意は突き、押し。家族はクリスティーン夫人(29)、長女・ケイトリンちゃん(2つ)、長男・コービーくん(6か月)。203センチ、236キロ。

 ◆選考経過

 年間76勝14敗、勝率8割4分4厘。ただひとり、今年6場所中2回優勝。断然他を圧していた曙の数字は、選考委員たちをうならせるに十分だった。

 6場所で76勝は、曙が前回年間最優秀力士賞を受賞した全盛期の93年とまったく同じ数字。しかも、初場所の11勝から九州場所は14勝と、尻上がりに成績を上げている。貴乃花、武蔵丸が故障がちだった今年の土俵で、存在感を見せつけた。「圧倒的だったね。まさに復活と言っていい」と有馬委員。「76勝というのは、年間最多勝の水準としてかなり高い。年間2回優勝だし、曙でいいのではないか」と伏見委員。欠席した平山委員も「曙でよろしいのではないでしょうか」という伝言があり、異論なく受賞が決定した。

 曙の受賞とは別に、九州場所で入幕2場所目、実質新入幕で13勝をマークした琴光喜の活躍には、各委員も大いに期待している。「一昨年、琴錦が2回目の平幕優勝をした時、特別に表彰できないかと申し上げましたが、今年の琴光喜も何とかならないでしょうか」と安西委員。1場所だけの活躍ではさすがに受賞はできなかったが、21世紀に琴光喜が何度もこの賞を受賞することを期待しよう。(草野直樹)

 ◇選考委員 有馬朗人(参院議員)、安西邦夫(東京ガス会長)、平山郁夫(日本画家)、伏見勝(報知新聞社社長)、青木辰衛(報知新聞社編集局長)

◆曙の成績

場所 成績
西横綱 11勝4敗
西横綱 12勝3敗
東横綱 13勝2敗
名古屋 東横綱◎13勝2敗
東横綱 13勝2敗
九州 西横綱◎14勝1敗

※◎は優勝。

◆年間成績

順位 力士名 所属 成績 勝率
1 東関 76勝14敗 .844
2 魁皇 友綱 62勝28敗 .689
3 千代大海 九重 58勝32敗 .644
4 出島 武蔵川 57勝33敗 .633
4 雅山 武蔵川 57勝33敗 .633

※休場は負けとして計算。

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