【2003年】2年連続栄冠!朝青龍の時代

2年連続で年間最優秀力士賞を受賞し、さらなる飛躍を目指す朝青龍 2年連続で年間最優秀力士賞を受賞し、さらなる飛躍を目指す朝青龍
 報知新聞社制定「平成15年(2003年)第46回報知年間最優秀力士賞」が25日、2年連続で横綱・朝青龍(23)=高砂=に決まった。選考委員会が東京・丸の内のクラブ関東で開かれ、満場一致での受賞となった。表彰式は来年1月11日、初場所(両国国技館)初日の土俵上で行われ、黄金の表彰状と賞金100万円、副賞のキヤノンカメラが贈られる。
◆結婚、昇進、成長、復活…大波乱の1年

 大相撲は「朝青龍時代」に突入した。連続受賞は94年から97年まで4年連続の横綱・貴乃花以来6年ぶり。45年前にこの賞が制定されて以来、過去に連覇を達成したのは大鵬、輪島、北の湖、千代の富士、貴乃花の5人だけ。「今年は悔しい思いもしたし、いろいろなことがあった。そんな中で今年もこの賞を頂けたことはうれしいですよ」と素直に喜んだ。

 この日は引退した横綱・武蔵丸から引き継いで、力士会長に就任。名実ともに角界の頂点に立った青年は、朝げいこでも相手を持ち上げて土俵に叩きつける「朝青龍スペシャル」を若手力士たちに伝授。後輩を育てていく立場になった自覚を見せた。

 破竹の勢いを見せた昨年と違い、波乱万丈の1年だった。1月に電撃結婚。初場所後は史上最速25場所での横綱昇進。夏場所では、不仲が表面化した旭鷲山戦での「下がり振り回し事件」で品格を問われたものの、横綱として初の優勝を飾った。だが、続く名古屋場所で、入門以来最大の試練が待っていた。

 旭鷲山との因縁の一戦で、マゲつかみによる横綱史上初の反則負けは、ファンが土俵入りを妨害する前代未聞の事態にまで発展した。心身ともに病み、初の休場に追い込まれたが「いい勉強になった」と振り返っている。

 秋場所で復活優勝を見せて、強さに関しては疑う余地がなくなった。「ライバルの横綱が欲しい」と張り合いを求めるくらいだ。だが、瞬間的にカッとなり、暴言を吐いてしまう短気な性格は相変わらず。師匠・高砂親方(元大関・朝潮)は「私が指導する」と繰り返しているが、簡単には変わりそうもない。

 しかし、根に持つタイプではない。旭鷲山とはすでに和解し、不仲をあおる報道には「何もないのに」と首をひねる。しごきで泣かして、さらにバックドロップばりの送りつり落としを見舞った高見盛とも、土俵を下りれば仲は悪くない。「人気者なんだからもっと強くなってほしいんだ」と“愛のムチ”を強調している。

 携帯電話の待ち受け画面は常にまな娘の写真にしている家族思いのパパ。2004年は強さに加え、人間的な面にもさらに磨きをかけていく。(甲斐毅彦)

 ◆朝青龍明徳(あさしょうりゅう・あきのり) 本名・ドルゴルスレン・ダグワドルジ。1980年9月27日、モンゴル・ウランバートル市生まれ。23歳。高砂部屋。97年に来日し、高知・明徳義塾高に相撲留学。99年初場所、初土俵。2000年秋場所、新十両。01年初場所、新入幕。02年名古屋場所後に大関。今年初場所後に横綱昇進し、初土俵から所要25場所で最速記録を樹立。殊勲賞3回、技能賞3回、得意は突き、押し、投げ。家族はタミル夫人(23)と長女・イチンホロコちゃん(9か月)。185センチ、138キロ。

 ◆選考経過

 幕内年間成績表に各委員が目を通した瞬間に結論は出ていた。有馬委員が「これで何か文句があるんですか」と言い、安西委員が「異論はないですね。ライバルもいませんし」と同調した。

 伏見委員は「大関取りだった若の里がもうちょっと頑張ってくれるかなと思ったし、栃乃洋も8勝7敗力士になってしまっている。来年は栃東に活躍してもらうしかない」と大関以下の奮起に期待した。佐田の山委員は「朝青龍はハワイ勢と違って体重不足があるようで、コロッと負けることがたまにある。素早い動きでカバーしているが、少し太った方が安定するのでは」と課題を示した。

 「品格の問題は過去の選考委員会で一度も出たことがないが」と西山委員が前置きした上で、以降は品格論に。安西委員は「身近にいる高砂親方が指導するしかないでしょう」。文相経験のある有馬委員は「日本の文化を教育してもらいたい。これは日本の子供たちにも言えることです」と朝青龍だけではなく、若者に共通する課題だとした。また、佐田の山委員は「荒馬というか、多少荒っぽい部分もないと勝負の世界では勝てない」と許容範囲だとした。(酒井隆之)

 ◇選考委員 有馬朗人・参院議員、安西邦夫・東京ガス会長、佐田の山晋松・日本相撲協会元理事長(第50代横綱)、伏見勝・報知新聞社会長、西山忠雄・報知新聞社編集局長

◆朝青龍の成績

場所 成績
東大関◎14勝1敗
西横綱 10勝5敗
東横綱◎13勝2敗
名古屋 東横綱  5勝5敗5休
東横綱◎13勝2敗
九州 東横綱 12勝3敗

※◎は優勝。

◆年間成績

順位 力士名 所属 成績 勝率
1 朝青龍 高砂 67勝18敗5休 .744
2 若の里 鳴戸 57勝33敗 .633
3 千代大海 九重 54勝21敗15休 .600
4 栃乃洋 春日野 51勝39敗 .566
5 魁皇 友綱 50勝25敗15休 .555

※休場は負けとして計算

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