【2008年】白鵬が２年連続受賞　０９年は年間８０勝以上へ挑戦

◆自分でも満足　４場所Ｖで満場一致

　巡業先の沖縄・石垣島に届いた吉報。白鵬の笑顔が、南国の太陽のように輝いた。「大変、光栄です。自分でも満足できる１年を評価してもらってうれしい」２年連続２度目の栄冠を重く受け止めるとともに、充実の０８年を振り返った。 　主役交代を印象付ける１年だった。引退の危機に直面している横綱・朝青龍（２８）＝高砂＝を尻目に、年４場所を制覇。優勝したことのなかった名古屋でも賜杯を抱き、全６場所優勝も達成した。

　「基本は四つですが、組んでもよし、離れてもよし。自分の相撲が完成した１年でした。これは、横綱として目指していたところのひとつだった」攻めても受けても強い。万能型の横綱として、“青白時代”から一気に“白鵬時代”を築き上げた。背水のライバルには「力と気力がある限り頑張ってほしい。やめるのは誰かに言われてではなく、悔いがないよう自分で決めるべき」とエールを送った。

　０９年は偉大な記録に挑む。優勝２０回以上の大鵬、北の湖、千代の富士、貴乃花、朝青龍といった５人の大横綱が成し遂げた年間８０勝以上の達成だ。０８年の白鵬は７９勝で１勝届かず、悔しい思いをした。「１１敗したってことだね。そんなに負けたんだ。人間だし、取りこぼしはある。でも、それがないようにしないと。来年は何とか１０敗以内にしたい」８０という数字は大横綱への第一歩。強い決意を口にした。

　大麻問題、八百長疑惑など角界に逆風が吹き付けた０８年。「ファンの方が、どう思っているか不安でした。でも、問題が起きたことで国技の歴史の重さを一層感じて頑張らないといけないと思った」。当面の目標は、初場所で初の４連覇を飾ることと、節目となる１０度目の優勝だが、その先には大きな仕事が待っている。「来年は相撲界にとっていい年にしたい」生まれ変わろうとする角界の運命は、白鵬の双肩にかかっている。（斎藤成俊）

　◆白鵬翔（はくほう・しょう）　本名ムンフバト・ダヴァジャルガル。１９８５年３月１１日、モンゴル・ウランバートル市生まれ。２３歳。宮城野部屋。２０００年１０月に来日し、０１年春場所で初土俵。０４年夏、新入幕。０６年春場所後、大関昇進。０７年夏場所後、第６９代横綱に昇進。優勝９回。殊勲賞３回、敢闘賞１回、技能賞２回。金星１。得意は右四つ、投げ。家族は夫人と１女１男。１９２センチ、１５４キロ。

　◆選考経過

　選考会の冒頭で、有馬委員が白鵬を絶賛した。「今年は白鵬が一番すごい。これだけ強ければ、受賞は動かない」。他の委員からの異論はなく、続いて出たのは白鵬への称賛だった。安西委員は土俵外での品格を評価。「人間的にも大変、練れてきた印象があります。立派な横綱です」と拍手を送った。

　佐田の山委員も「体も一回り大きくなった印象があります。成長している証拠でしょう」と称賛。小松崎委員が「年間勝利で２位の日馬富士に１８勝も差をつけており、文句のつけようがない」と評価し、満場一致で２年連続の受賞が決定した。

　羽賀委員は白鵬に対し「来年はさらに安定感のある横綱となってほしい」と期待をかけた。白鵬の強さが際立つ一方、昨年同様に選考の余地がなかった一強時代を嘆く声も出た。小松崎委員は「来年こそは２場所ずつぐらい優勝を分け合い、白熱した土俵を展開してほしい」とファンの気持ちを代弁していた。

　◇選考委員　有馬朗人・日本科学技術振興財団会長（武蔵学園学園長）、安西邦夫・東京ガス相談役、佐田の山晋松・日本相撲協会元理事長（第５０代横綱）、小松崎和夫・報知新聞社代表取締役社長、羽賀求・報知新聞社編集局長。

　◇副賞　表彰式では、これまでの「黄金の表彰状」にかわる高さ８０センチの「スポーツ報知杯」、賞金１００万円、キヤノンマーケティングジャパンから「キヤノン　デジタルビデオカメラ　ｉＶＩＳ　ＨＦ１１」が贈られる。

※◎は優勝。