【2012年】白鵬、史上初6年連続受賞!

来年の目標を記した色紙を手に笑顔を見せる白鵬 来年の目標を記した色紙を手に笑顔を見せる白鵬
 報知新聞社制定「平成24年(2012年)第55回報知年間最優秀力士賞」が26日、横綱・白鵬(27)=宮城野=に決定した。東京・丸の内のクラブ関東で開かれた選考委員会で、委員5人が満場一致で選出した。白鵬は千代の富士、朝青龍を抜き史上初となる6年連続で6度目の受賞となった。表彰式は来年1月13日、両国国技館での初場所初日の土俵で行われる。
◆千代の富士、朝青超え快挙「最後にご褒美を頂きました」

 白鵬が、またも前人未到の頂を極めた。年6場所制となった1958年から制定され今年で55年。千代の富士、朝青龍の5年連続を抜く史上初の最優秀6連覇だ。

 「受賞を聞かされた時は、また頑張ろうという素直な気持ちになりました。今年は物足りない成績でしたが最後にご褒美を頂きました」

 07年名古屋の横綱昇進後、最も苦しい1年だった。優勝21回で迎えた初場所。大関・把瑠都に賜杯をさらわれた。落とし穴は夏。左手人さし指の骨折の影響で綱を張ってから初の3連敗。あの時の苦悩を今、明かす。

 「けがをして、考えと体がまったくかみ合わなくなった。そんな中、大先輩の旭天鵬関が史上最年長で優勝し『オレは何をやっているんだろう』と思い、簡単に優勝はできないとも教えられました。考えたのは『今、やれることを淡々とやるしかない』という思いでした。そうすれば必ずいい日が来ると言い聞かせてました」

 それでも名古屋、秋と苦境は続いた。日馬富士に2場所連続全勝で優勝をさ
らわれ、新横綱昇進を許した。3場所も賜杯を逃すのは横綱昇進後、初の汚点。それでも心の中には、ゆとりが出たと言う。
 「自分と肩を並べる存在ができたことで1人で綱を張っていた心の張りが取れた。角界を全体を1人じゃなく2人で引っぱって行けばいいと思えました」

 優勝は逃したが、すべての場所で千秋楽まで賜杯を争い、横綱の責任を果たした自負もあった。新たに稽古に筋力トレーニングも導入。心身共にリフレッシュし、九州で復活Vを決めた。貴乃花を抜いた23回目。今、白鵬は大きな目標を掲げた。

 「夢は大きく大鵬関が残した歴代最多の32回という優勝回数に一つ一つ近づきたい」

 一方で、負ければ引退という過酷な地位も自覚している。

 「そういう時が来れば、真っ先に手を挙げて協会に残り若者を指導したい気持ちはあります。それが大相撲への恩返し。国籍の問題がありますが、ルールを作ればいいかもしれません。20年あるいは10年以上、幕内を張った人は、並外れた努力と汗と涙と喜びと悲しみもあったからこそできると思う。そういう力士は相撲道を分かる気がする」

 新たな歴史を大相撲に刻むべく白鵬は、土俵に君臨する。

 ◆白鵬翔(はくほう・しょう) 本名・ムンフバト・ダヴァジャルガル。1985年3月11日、モンゴル・ウランバートル市生まれ。27歳。宮城野部屋。2001年春、初土俵。04年初、新十両。同年夏、新入幕。06年春場所後に大関、07年夏場所後に第69代横綱昇進。10年に史上2位タイ63連勝。10年春~11年技量審査場所にかけ史上最多タイ7連覇。優勝23回。193センチ、155キロ。得意は右四つ、寄り。

 ◆選考経過

 委員5人が全員出席。候補は共に2場所優勝した白鵬と日馬富士に絞られた。

 中でも名古屋、秋と2場所連続全勝優勝し横綱に昇進も、九州で9勝6敗と低迷した日馬富士の評価が焦点となったが、冒頭で有馬委員が「日馬富士は、あの九州の体たらくがなければ推した」と発言。この見解が5人の委員すべての評価だった。安西委員も「九州で9勝6敗では推すことは難しい」と苦言を呈し、早川委員は「夏場所も8勝7敗で最優秀という賞の意味を考えると、白鵬に軍配を上げざるを得ない」と明言した。

 奥島委員は「すべての場所で優勝を争う安定感は格別です」と絶賛し、満場一致で白鵬の6年連続6度目の受賞が決まった。最後に丸山委員が「日馬富士は来年の初場所で素晴らしい成績を残し、来年こそ受賞してほしい」と、第70代横綱が新風を吹き込むことを期待し終了した。

 ◇選考委員 有馬朗人・日本科学技術振興財団会長(武蔵学園学園長)、安西邦夫・東京ガス特別顧問、奥島孝康・日本高校野球連盟会長、早川正・報知新聞社代表取締役社長、丸山伸一・報知新聞社取締役編集局長

 ◇副賞 来年1月13日の表彰式では「スポーツ報知杯」と賞金50万円が贈られる。

◆白鵬の成績

場所 成績
東横綱 12勝3敗
東横綱◎13勝2敗
東横綱 10勝5敗
名古屋 東横綱 14勝1敗
東横綱 13勝2敗
九州 東横綱◎14勝1敗

※◎は優勝。

◆年間成績

順位 力士名 所属 成績 勝率
1 白鵬 宮城野 76勝14敗 .844
2 日馬富士 伊勢ケ浜 69勝21敗 .767
3 稀勢の里 鳴戸 61勝29敗 .678
4 鶴竜 井筒 60勝30敗 .667
5 豪栄道 境川 52勝37敗1休 .578

ページトップ