【2015年】白鵬 9年連続9度目

9年連続の受賞に笑顔の白鵬 9年連続の受賞に笑顔の白鵬
 報知新聞社制定「平成27年(2015年)第58回報知年間最優秀力士賞」が25日、横綱・白鵬(30)=宮城野=に決定した。東京・銀座の三笠会館で開かれた選考会では大関・照ノ富士(24)=伊勢ケ浜=を推す声も上がったが、最終的には白鵬の9年連続9回目の年間最多勝などが評価された。自らの最多記録を更新する9年連続9回目の受賞。表彰式は来年1月10日、大相撲初場所(両国国技館)初日の土俵で行われ、スポーツ報知杯、賞金が贈呈される。
◆照ノ富士と接戦も「年間最強」決め手

 今年の初場所で白鵬は、ついに単独最多となる33回目の優勝を達成した。1971年初場所で大鵬がV32を達成してから44年。長い時を超え、前人未到の域に達した。

 昨年、単独最多の受賞回数となった最優秀力士賞も、更新する9年連続9回目。こちらも誰も足を踏み入れたことのない領域に踏み込んでいる。「一場所一場所を大事にしてきたのが9年連続につながった」と自らを褒めた。

 2015年はさまざまなことがあった。初場所で新記録のV33を達成。場所後の一夜明け会見では審判部を批判し物議を醸した。春場所でV34を決めたが支度部屋では終始、無言。当時の心境について「早々と記録を達成して伸び伸びとやりたかった。どこかに焦りもあった。気が張っていたのかもしれない」と明かした。

 さらに秋場所では07年名古屋場所の横綱昇進後、初めて休場した。九州場所では「猫だまし」を繰り出し波紋を呼んだが、最終的には休場がありながら年間最多勝を獲得した。「今年は休場もしたし、新記録も達成したり、世間のいろんな人からの意見を学んでね…。それを乗り越え、成長した1年だと思う」と振り返った。

 そして新たな年を迎えようとしている。V回数も「35」まで伸ばし、目指す大きな記録は塗り替えた。「そういう意味ではいろんな目標や夢を見つけて頑張っていくことが今後は大事なのかな。勝ち負けじゃなくてね」と白鵬。「(九州場所で)やぐら投げや、猫だましが出たのは、そういったものがどこかで表れているかもしれない」と話した。

 だが、「通算1047勝(魁皇)や北の湖さんの横綱在位場所数(63)にも並びたい。あとは大台の優勝40回」と目指す記録もある。ただ来年の抱負を色紙に書いてもらうと「V39」と記した。「サンキューという意味。来年はありがとうと言える年にしたい」と説明した。「(力士として)20年の東京五輪に携わりたい」との夢も語った。希望をかなえるため、力を示し続ける。

 ◆白鵬翔(はくほう・しょう) 本名・ムンフバト・ダヴァジャルガル。1985年3月11日、モンゴル・ウランバートル市生まれ。30歳。宮城野部屋。2001年春、初土俵。04年初、新十両。同年夏、新入幕。07年夏場所後に第69代横綱昇進。10年に史上2位タイの63連勝。同年春~11年技量審査場所にかけ、史上最多タイの7連覇。優勝回数は史上最多の35回。192センチ、155キロ。得意は右四つ、寄り。家族は紗代子夫人(31)と1男2女。

 ◆選考経過

 選考会では1差で年間勝ち星数1、2位となった白鵬と照ノ富士のどちらが受賞とするかで意見が分かれた。白鵬は年6場所中3場所を制し、秋場所では1勝もできず途中休場しながら、最多を更新する9回目の年間最多勝を9年連続で決めた。一方の照ノ富士も年間最多勝争いで白鵬に肉薄。初優勝を飾るなど大きく飛躍した年だった。

 有馬委員が「優勝の数から言えば白鵬だが、照ノ富士も良かった」。早川委員も「白鵬が独り勝ちの状態の中で、照ノ富士がその存在を脅かした。勝ち星と優勝回数で見るならば文句なしに白鵬だが…。悩ましい」と話すなど、各委員は結論を出すのに苦慮した。

 ただ、奥島委員が「最優秀というのは、年間で一番強かった者ではないでしょうか」と発言。有馬委員も「照ノ富士は、もうひとつ安定性に欠ける」と続いた。その意見に早川委員が「最優秀力士という賞に着目して」とコメント。鈴木委員も「照ノ富士は来年に期待したい」と同調する声が上がり、白鵬に最優秀力士賞の栄冠が輝いた。

 ◇選考委員 有馬朗人・学校法人根津育英会武蔵学園長、奥島孝康・公益財団法人ボーイスカウト日本連盟理事長、早川正・報知新聞社代表取締役社長、鈴木憲夫・報知新聞社執行役員編集局長

◆白鵬の成績

場所 成績
東横綱◎15勝0敗
東横綱◎14勝1敗
東横綱 11勝4敗
名古屋 東横綱◎14勝1敗
東横綱 0勝3敗12休
九州 西横綱 12勝3敗

※◎は優勝。

◆年間成績

順位 力士名 所属 成績 勝率
1 白鵬 宮城野 66勝12敗12休 .733
2 照ノ富士 伊勢ヶ浜 65勝25敗 .722
3 稀勢の里 田子ノ浦 62勝28敗 .689
4 嘉風 尾車 54勝36敗 .600
5 栃煌山 春日野 51勝39敗 .567

※休場は負けとして計算。

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