【2019年】横綱・白鵬、「報知年間最優秀力士賞」前人未踏の10度目

クリスマスをクラッカーでお祝いする白鵬 クリスマスをクラッカーでお祝いする白鵬
 報知新聞社制定「令和元年(2019年)第62回報知年間最優秀力士賞」に横綱・白鵬(34)=宮城野=が24日、選出された。東京・銀座の三笠会館で行われた選考会では、今年も若手の壁となって2度賜杯を抱き、自身が持つ最多V回数を「43」まで伸ばしたことなどが評価されて、4年ぶり10度目の受賞。この日の初場所(来年1月12日初日・両国国技館)新番付発表では4場所ぶりに東の正位に就いた。表彰式は初場所初日の土俵で行われ、スポーツ報知杯、賞金が贈呈される。
◆3場所休場反省

 世代交代はそう簡単には許さない。時代は平成から令和に受け継がれても、最強横綱には12年以上も番付最高位を務めてきた自負があった。平成最後の春場所で全勝V。令和元年最後となった九州場所では、朝乃山ら若手の追撃を振り切って史上最多43度目の優勝を飾った。4年ぶりの受賞の知らせに「おっ、久しぶりだ。令和最初か」と喜びつつも、右上腕二頭筋断裂などの影響で3場所休場したことに「今年はけがと闘い、うまく付き合った。けががなければもっとできたんじゃないかとも思う」と反省も忘れなかった。

 9月には日本国籍を取得し日本人横綱になった。将来的には親方になる夢がある。その前に今、若手の壁になることが大相撲界の発展につながると考えている。貴景勝、朝乃山、御嶽海…。伸び盛りの20代を名指しして奮起を促したこともある。「自分が番付を駆け上がった頃、上位陣には朝青龍関を始め、魁皇関、栃東関、千代大海関らがいた。何度もはね返されたその壁を乗り越えて今がある。壁は高ければ高い方がいい力士は生まれる。まだ土俵の稽古量、質でも若手に負けない自信はある」と立ちはだかる決意だ。

 来年3月には35歳を迎える。史上最多優勝など数々の金字塔を打ち立ててきたが、自身を奮い立たせる記録がある。尊敬する千代の富士が持つ35歳5か月の横綱最年長V(年6場所制定着の1958年以降)は、20年東京五輪後の秋場所で更新する可能性がある。先場所後には目標優勝回数を「50」と宣言。それだけにとどまらず「羽黒山関は37歳(2か月)で優勝していますよね。いいモチベーションだ」と、52年1月の偉業で昭和以降の横綱最年長記録への挑戦も視野に入れた。

 「今年は2回優勝したから来年は3回。一つ一つ階段を上る。2020年も走りたい」。若手の挑戦を受け止めつつ、白鵬は我が道を行く。

 ◆報知年間最優秀力士賞の受賞回数 4年ぶり受賞の白鵬は自身が持つ最多記録を更新する10回目。2位は大鵬、千代の富士の両横綱が7回。

 ◆白鵬 翔(はくほう・しょう)本名同じ。1985年3月11日、モンゴル・ウランバートル市生まれ。34歳。2001年春、初土俵。04年初、新十両。同年夏、新入幕。07年夏場所後に第69代横綱昇進。10年に史上2位タイの63連勝。同年春~11年技量審査場所にかけ史上最多タイの7連覇。優勝回数は史上最多の43回。今年9月3日付で日本国籍を取得した。192センチ、158キロ。得意は右四つ、寄り。

 ◆選考経過 今年は5人の優勝力士(玉鷲、白鵬、朝乃山、鶴竜、御嶽海)が誕生した。傑出した成績優秀者はおらず、候補選出の段階から議論は白熱。最終的には小結で史上初の年間最多勝(55勝)の朝乃山、皆勤3場所ながら2度賜杯を抱いた白鵬が候補に絞られた。

 四つ相撲の若手有望株として急成長した朝乃山には「優勝もして、貴花田(後の横綱・貴乃花)が出てきた時に似ている」(能町委員)、「研究されても(秋場所から)2場所連続で2ケタ勝っている。勝ち星は一番多い」(山本委員)と推す声が集まった。角界の世代交代を期待する一方で、「朝乃山はいい相撲だがまだズバ抜けたものが見えない。優勝前後の負け越しが気になる」(奥島委員)と慎重な意見もあった。

 白鵬については、度重なるけがによる3場所休場が焦点に。「横綱の休場は残念だが、やはり2度の優勝は大きい」(有馬委員)と史上最多43回までVを積み重ねた功績を改めて評価。34歳になっても若手の壁となり「14勝以上での優勝2回は表彰に値する」(丸山委員)。僅差で白鵬の4年ぶりの受賞が決まった。

 ◇選考委員 有馬朗人(学校法人根津育英会武蔵学園長)、奥島孝康(公益財団法人ボーイスカウト日本連盟理事長)、能町みね子(文筆家)、丸山伸一(報知新聞社代表取締役社長)、山本理(報知新聞東京本社編集局長)

◆白鵬の成績

場所 成績
横綱 10勝4敗1休
横綱◎15勝0敗
横綱 全休
名古屋 横綱 12勝3敗
横綱 0勝2敗13休
九州 横綱◎14勝1敗

※◎は優勝。

◆年間成績

順位 力士名 所属 成績 勝率
1 朝乃山 高砂 55勝35敗 .611
2 阿炎 錣山 54勝36敗 .600
3 白鵬 宮城野 51勝39敗 .567
4 御獄海 出羽海 51勝39敗 .567
5 遠藤 追手風 49勝41敗 .544

※勝率の休場は負けで計算。

ページトップ