150周年

【2021年】横綱・照ノ富士、「報知年間最優秀力士賞」21年の1字は「叶」

報知年間最優秀力士賞に初選出された照ノ富士 報知年間最優秀力士賞に初選出された照ノ富士
 報知新聞社制定「令和3年(2021年)第64回報知年間最優秀力士賞」に横綱・照ノ富士(30)=伊勢ケ浜=が20日、初選出された。都内のホテルで開かれた選考委員会では、年4回の優勝や7年ぶりに年間70勝以上(77勝)を挙げるなどの安定感を評価。新委員に前文化庁長官の宮田亮平氏、元NHKアナウンサーの刈屋富士雄氏を迎えた選考委は、満場一致で選出を決めた。表彰式は来年1月9日、初場所(両国国技館)初日の土俵で行われ、スポーツ報知杯、賞金が贈呈される。
◆勝率8割超

 照ノ富士時代の幕開けを告げる初受賞だ。吉報を耳にすると、「誰でもいただけるわけではないですから、うれしく思います」と声を弾ませた。歴代受賞者には大鵬、千代の富士、北の湖、貴乃花、白鵬ら大横綱が名を連ね、これには土俵上で常に冷静沈着な横綱も「逆に自分なんかがもらっていいのかな…」と恐縮した。

 師匠にも肩を並べた。1990年に初受賞したのが横綱・旭富士(現伊勢ケ浜親方)。同じく新横綱に昇進し、30歳だった巡り合わせに、照ノ富士は「親方の還暦土俵入りの赤い綱を作るときと、自分の初めての綱打ちのタイミングも重なった。いろんな縁があるね」と感慨深げに話した。

 成績、相撲内容ともに文句なしの1年だった。計77勝を挙げ、14年に81勝した白鵬以来の勝率8割超。抜群の安定感で年4回の賜杯を抱き、「積み重ねてきたことが少しでも形に表れたのかな」と実感を込めた。11月の九州場所は自身初の全勝で6度目の優勝。新横綱場所からの連覇は大鵬以来59年ぶりの快挙となった。

 初場所を関脇で迎え、横綱まで一気に駆け上がった今年の漢字には「叶」を選んだ。一度は両膝のけがや内臓疾患の影響で大関から序二段に陥落。何度も諦めかけながらも、地獄からはい上がった不屈の男は「やはり新弟子の頃から『横綱になりたい』と常々考えていました。それが叶(かな)ったから」と激動の2021年を表した。

 史上最多45度の優勝を誇った白鵬が土俵を去り、後を託された。一人で最高位を守る照ノ富士の来年の目標は、年4場所以上制覇で実現する2桁優勝。「(表彰や記録を)達成すると、『より一層頑張らないといけない』と、そういう気持ちになる」。有言実行で、“師匠超え”の2年連続受賞へ―。新たな栄誉に決意を強め、角界新時代で更なる輝きを放つ。

 ◆照ノ富士 春雄(てるのふじ・はるお)本名は杉野森正山。1991年11月29日、モンゴル・ウランバートル市生まれ。30歳。伊勢ケ浜部屋。鳥取城北高から間垣部屋に入門し、2011年技量審査場所で初土俵。14年春場所に新入幕。15年夏場所で初優勝後に大関昇進も、両膝のけがなどで序二段まで転落。20年7月場所に再入幕。21年名古屋場所後に第73代横綱に昇進し、8月に日本国籍を取得した。得意は右四つ、寄り。192センチ、184キロ。

 ◆選考経過 選考委では年6場所中4場所を制覇、年間勝利数も77勝を挙げ、2014年の白鵬と鶴竜以来、7年ぶりに70勝以上という安定した成績を残した照ノ富士が、文句なしの選出となった。

 宮田委員が「優勝4回ということを考えると、他の力士との差が歴然としている」と第一声。刈屋委員も「新横綱から2連覇は59年ぶり。歴史的に見ても強い横綱の誕生だなと言えるのでは」と評価。能町委員も「照ノ富士以外は考えられない。横綱としても特に九州場所は一番強かったのでは。相撲内容も危ないところがほとんどなくなってきた」と続いた。

 依田委員は大関復帰場所、新横綱場所での優勝を挙げ「非常に注目を集める場所で結果を出したのは素晴らしい精神力」と、たたえた。山本委員は「両膝のけがを抱えながら休場は一日もなかった。6場所全てを取り切ったのも評価していい」と1年間、土俵に立ち続けたことを評価した。

 一時代を築いた白鵬が引退し、照ノ富士時代の幕開けを予感させる1年だった一方で、それに続く力士が伸び悩んでいる状況とも言える。委員からは大関陣や若手力士の奮起を期待する声も多く挙がった。

 ◇選考委員 宮田亮平(前文化庁長官、前東京芸術大学学長)、刈屋富士雄(立飛ホールディングス執行役員、元NHKアナウンサー)、能町みね子(文筆家)、依田裕彦(報知新聞社代表取締役社長)、山本理(報知新聞社編集局長)

◆照ノ富士の成績

場所 成績
関脇 11勝4敗
関脇◎12勝3敗
大関◎12勝3敗
名古屋 大関 14勝1敗
横綱◎13勝2敗
九州 横綱◎15勝0敗

※◎は優勝。

◆年間成績

順位 力士名 所属 成績 勝率
1 照ノ富士 伊勢ケ浜 77勝13敗 .856
2 御獄海 出羽海 55勝35敗 .611
3 正代 時津風 52勝38敗 .578
4 大栄翔 追手風 50勝40敗 .556
5 明生 立浪 49勝41敗 .544

※勝率の休場は負けで計算。

ページトップ