「北斎の娘」の林家あんこ、映画「おーい、応為」を語る!葛飾北斎役の永瀬正敏への「3つの質問」も!

2025年10月24日15時30分 スポーツ報知

「第二回『北斎の娘』を聴く会」での林家あんこ(撮影・武藤 奈緒美)

 「おーい、応為」の“北斎の娘”を2022年より創作落語にして取り組んでいる、女流落語家で林家しん平門下の二ツ目、林家あんこ。墨田区生まれ墨田区育ちで、偉大な父を持つ二世噺(はなし)家として応為の気持ちに迫り、その魅力を伝えてきているあんこが早速、映画を見てのおすすめポイントなどをレクチャー。北斎役を務めた永瀬正敏さんに3つの質問しました!


━「北斎の娘」を創作落語で始めたきっかけは。
あんこ「第21代すみだ親善大使の着任を機に、地元の墨田区をPRするなかで葛節応為の作品『吉原格子先之図』と出会い大変魅了されました。このような絵を描いた応為に”落語”と言う芸能で迫ってみたいと思い、新作落語として仕立て上げることにしました。

━応為とご自身が重なるところは。
あんこ「私の父は天才ではないとは思うのですが鋳…(笑)。お互いの仕事を見ていないようで実はとても意識しているところでしょうか。あと、頑固なところ(笑)」
 
━応為の魅力について。
あんこ「資料では『家事が一切できない、酒も煙草も嗜み春画も手掛ける男まさりの女性』という印象が強いのですが、絵を見るととても繊細で丁寧。そのギャップがとても素敵だと思います」
 
━すみだにとっての葛飾北斎とは。
あんこ「世界に誇れる偉大な人物がすみだのまちに確かに生きていたこと。その事実だけで生きるエネルギーとなる人だと思います」
 
━映画をご覧になられて。おすすめポイントは。
あんこ「長屋での北斎親子を覗き見ているような、自分も江戸時代へタイムスリップしたような心持ちになる作品でした。また、弟子であり娘であることの喜びと辛さが感じられたシーンでは思わず涙が込み上げました」
 
━創作落語「北斎の娘」の今後の展開と、創作への意気込みについて。
あんこ「現在口演している約50分のノーカット版や、10~15分のスピンオフ編のブラッシュアップはもちろん古典落語に北斎と応為を主要人物として登場させたいと思っています」

 


◆あんこが永瀬正敏に聞く「3つの質問」

─ご自身と北斎が重なったところを教えてください
永瀬「最後の瞬間まで『もっと絵が上手くなりたい』と願われていたところでしょうか。俳優としての自分もきっとそうだと思うので」

─すみだ北斎美術館に行かれたことは?
永瀬「クランクイン前にプライベートでうかがいました。もう絵のレッスンを受けていたので、迷いのない線や、繊細な描写、逆に大胆にデフォルメされた思いっきりのいい筆さばきにただただ圧倒されました。あらためてこんなすごい作品をたくさん残されていたのかと、敬服しました」

─応為の魅力は何だとお考えになりますか。
永瀬「自分の心や想いに忠実な、信念の人だったのではないでしょうか。不器用で大胆で義理堅く、そして実はすごくチャーミングな方だったのではないかと想像します」


Ⓒ2025「おーい、応為」製作委員会
Ⓒ2025「おーい、応為」製作委員会


【あらすじ】 
自分の幸せは、
自分でしか描けない―
北斎の娘、お栄はある絵師のもとに嫁ぐが、かっこうばかりの夫の絵を見下したことで離縁となり、父のもとへと出戻る。父娘にして師弟。描きかけの絵が散乱したボロボロの長屋で始まった二人暮らしだが、やがて父親譲りの才能を発揮していくお栄は、北斎から「葛飾応為(おうい)」(いつも「おーい!」と呼ばれることから)という名を授かり、一人の浮世絵師として時代を駆け抜けていく。
美人画で名を馳せる絵師であり、お栄のよき理解者でもある善次郎との友情や、兄弟子の初五郎への淡い恋心、そして愛犬のさくらとの日常…。嫁ぎ先を飛び出してから二十余年。北斎と応為の父娘は、長屋の火事と押し寄せる飢饉をきっかけに、北斎が描き続ける境地“富士”へと向かうが…。



 ◆林家 あんこ 1986年5月7日、墨田区出身。東洋大学文学部日本文学文化学科卒。2013年に林家しん平に入門。14年に楽屋入り、前座名「あんこ」を名乗り、17年に二ツ目昇進。21年9月3日より墨田区在住者として第21代「すみだ親善大使」を23年8月まで務めた。実父は林家時蔵。日本テレビ「笑点」アシスタントとして出演中。
 ▼公演情報 10月28日(火)19時30分開演「第五回『北斎の娘』を育てる会」鈴座Lisa cafe、10月30日(木)19時開演「『出張りさらくご』鈴座落語会」ティアラこうとう小ホール、11月23日(日)11時開演「あんこの朝活in墨亭」向じま墨亭、12月12日(金)18時30分開演「第三回『北斎の娘』を聴く会」すみだトリフォニーホール小ホール<!--EndFragment-->
 ※詳細はHPまで


 ◆永瀬 正敏(ながせ・まさとし)1966年7月15日、宮崎県出身。83年、相米慎二監督の映画『ションべン・ライダー』で俳優デビュー。以降、山田洋次監督『息子』(91)や河瀨直美監督『あん』(15)・『光』(17)、ジムジャー・ムッシュ監督の『ミステリー・トレイン』(89)・『パターソン』(16)、フリドリック・トール・フリドリクソン監督の『コールド・フィーバー』(95)と国内外問わず作品に多数出演。93年からは『私立探偵濱マイク』シリーズの映画版とTVドラマ版で数年に渡って主人公を務め話題に。近年では『箱男』(24/石井岳龍監督)、『国宝』(25/李相日監督)、『THEオリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウMOVIE』(25/オダギリジョー監督)などがある。本作の大森立嗣監督とは映画『まほろ駅前狂騒曲』(14)、『星の子』(20)に続き映画では3作品目のタッグとなる。


 ◆大森 立嗣(おおもり・たつし)1970年9月4日、東京都出身。大学時代から自主映画を作り始め、卒業後は俳優としても活動。2005年、花村萬月の芥川賞受賞作『ゲルマニウムの夜』で映画監督デビューし同作がロカルノ国際映画祭コンペティション部門など多くの映画祭で高い評価を受けた。以降、『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』(10)、『さよなら渓谷』(13)、『ぼっちゃん』(14)、『光』(17)、『日日是好日』(18)など数々の作品を手掛けている。近年では長澤まさみ主演で大きな話題となった『MOTHERマザー』(20)、『星の子』(20)、『グッバイ・クルエル・ワールド』(22)、『湖の女たち』(24)などがある。

 

絶賛公開中の映画『おーい、応為』(右から大森立嗣監督、永瀬正敏、長澤まさみ、髙橋海人、大谷亮平)(C)2025「おーい、応為」製作委員会 絶賛公開中の映画『おーい、応為』(右から大森立嗣監督、永瀬正敏、長澤まさみ、髙橋海人、大谷亮平)(C)2025「おーい、応為」製作委員会

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