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【スミまでお散歩】~八広・洋食50BAN

2025年5月11日8時00分 スポーツ報知

洋食50BAN

 荒川のほとりにある八広は、ソフトバンク・王貞治球団会長が生まれた地として知られている。京成押上線・八広駅近くの、はなみずき通り沿いには王さんゆかりの店がある。父・仕福さんが1928年に創業した「中華 五十番」の流れを受け継ぐ「洋食 50BAN」だ。

「洋食 50BAN」の川口俊幸さん。料理は独学で身につけた 「洋食 50BAN」の川口俊幸さん。料理は独学で身につけた

 オーナー兼シェフを務める川口俊幸さん(77)は王さんのいとこ。「サダハルちゃんが中学の頃まではよく遊びましたよ」。未来のホームラン王は食欲がすさまじく、ラーメン2杯と丼飯3杯に加えてすしを60~70貫も平らげていたという。

 「中華 五十番」は王さんが6歳の時に押上へ移転。母方の親族が店名を引き継ぎ、俊幸さんが69年に洋食店として再スタートさせたのが現在の店だ。名物は王さんもお気に入りの「スペシャル カツサンド」(1100円)。東京ドームにも88年の開場直後から9年間出店した、ボリューム満点の逸品だ。近くで用事があれば訪れるという王さんは、85歳を迎えた今年も2回来店している。

 はなみずき通りに最盛期で約70軒あった商店はわずか数軒になったが、スカイツリー効果で八広の人口が再び増えてきた。近くに宿泊する外国人観光客と「つたない英語で話すのも面白い」と俊幸さん。再来年には八広に元祖「五十番」が創業してから100年目を迎える。「大きな病気もないんですよ。こんなに長くやるとは思わなかった」とほほ笑む顔つきが、王さんと重なった。

 王さんや俊幸さんが若かった頃、八広の駅は「荒川駅」という名前だった。晴れた昼下がり、近くを流れる荒川の土手に上がってみた。秋を間近にした川辺には、2人の笑顔のように穏やかな風が吹いていた。

            (堀北 禎仁)

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