2026年7月9日19時45分 スポーツ報知
東京・墨田区がeスポーツを通じて若者の区内流入や高齢者の健康づくり、産業分野での連携などを図るため、プロeスポーツクラブ運営事業者と大学の三者による「公民学連携協定」を9日、全国の自治体で初めて締結した。区内で活動するプロeスポーツクラブ「INSOMNIA(インソムニア)」をホームタウンeスポーツチームとしても承認。締結式で山本亨区長は「『eスポーツでひとがつながるまち すみだ』を目指していく」と意気込みを語った。
会見場所は異例とも言える両国国技館の1階エントランスホールの特設会場で行われた。eスポーツが「ここ両国国技館において数万人を動員する大会が開催されるなど、国内外から多くのファンが訪れ、新たな若者文化として発展している」(山本区長)ことからで、さらに「eスポーツを区としても新たな地域資源として積極的に活用し、地域のにぎわい創出だけでなく、福祉や教育など、様々な地域課題の解決に繋げていきたいと考えている」と山本区長は説明した。
会見は両国国技館の1階エントランスホールの特設会場で行われた
今回の「公民学三者連携協定」は「eスポーツの普及および発展に関する協定」で、三者は墨田区と「INSOMNIA」を運営する株式会社INS(アイエヌエス)と学校法人電子学園。2020年4月に同学園は区初の大学としてiU情報経営イノベーション専門職大学を開学。校内にeスポーツルームを設置しているほか、全国で初めて教育課程でeスポーツカリキュラムの単位認定を行うなどしている。一方、INSは「INSOMNIA」を通じて子ども向けのeスポーツ体験会や地域の清掃活動など積極的に取り組んでいる。「INSOMNIA」自体も昨年3月に行われたチーム戦略バトルゲーム「ポケモンユナイト」のアジア大会で優勝。アジア王座として同8月の米カリフォルニア州アナハイムでの世界大会に出場するなど実力と人気を兼ね備えて活躍している。
プロeスポーツクラブ「INSOMNIA(インソムニア)」を墨田区のホームタウンeスポーツチームとしても承認
この三者連携で目指すのは主に〈1〉eスポーツの普及推進〈2〉eスポーツの国際大会などの誘致〈3〉eスポーツを通じた高齢者・障害者の健康作り、若者の新たな居場所づくりといった福祉等の推進〈4〉教育・研究に関する資源の相互活用〈5〉ホームタウンeスポーツチームの活動環境の確保、の5つ。
さらに取り組む具体的な施策として、高齢者向けのeスポーツ全国大会への出場や地域リーグの創設、eスポーツのパブリックビューイング実施、オフィシャルグッズの活用、区内ものづくり事業者との連携によるeスポーツ関連製品の開発、なども進める。既に今年5月、区役所でeスポーツのパブリックビューイングを開催したところ、10代の若者から80代の高齢者まで幅広い層の区民が参加し、多世代交流のきっかけになった。
ホームタウン承認セレモニーと三者協定締結式に出席したINSの本橋壮太代表取締役は「eスポーツを通じて、最近だと高齢者向けの認知予防や孤独解消のためのeスポーツといったものにも取り組んでいる。ゲームとしてとらえるのではなく、墨田区が掲げる“人と人がつながる”ためのプラットフォームとしてeスポーツを活用していきたい。すごく可能性がある」と説明。さらに「教育の面でもIT人材の育成、デジタルリテラシーの高い人材の育成といったところでも寄与できるのでは」と意欲を示した。学校法人電子学園の多忠貴理事長も「eスポーツのデジタル技術を活用しながら、高齢者の健康増進や世代間交流を含め、孤独や孤立といった社会課題をeスポーツの力で解消していく、その可能性を示すことで、eスポーツが若者だけではなく幅広い世代をつなぐ社会的なプラットフォームになるよう取り組んでいきたい」と話した。

eスポーツに関する「公民学三者連携協定」は全国の自治体でも先駆けた試み
この日の会見は日本相撲協会が全面協力したことから、公式マスコットキャラクラーのひよの山がスペシャルゲストで登場。さらに事業部長の出羽海親方から祝辞とともに「今後も多くのeスポーツの大会が国技館で開催され、eスポーツの普及発展に少しでも寄与できることを願っています」とのメッセージが寄せられた。