お帰りなさい、えどはく!「江戸東京博物館」のリニューアルオープンで両国はさらににぎわいそうだ。改修工事で空間デザインを手掛けた世界的建築家・重松象平氏も「世界に誇れる東京の名所になっていく」と期待する両国の魅力と今後について、一般社団法人墨田区観光協会・森山育子理事長に特別寄稿いただきました。「粋なまち」に誇り
江戸文化が色濃く残るまち、両国。
かつて「両国の川開き」と呼ばれ、日本で最初の花火大会である隅田川花火大会発祥の地であり、世界的な浮世絵師・葛飾北斎が生まれ活躍した地です。また、忠臣蔵や「鬼平犯科帳」の舞台としても知られ、江戸情緒を今に伝えています。
両国は、江戸時代初期の1657年に起きた明暦の大火を契機に、下総国から武蔵国へと編入され、町人文化が花開くまちへと変貌(へんぼう)しました。このまちに暮らす人々は、両国を「粋なまち」「江戸文化が息づくまち」と呼び、強い誇りを持っています。
私自身、そんな両国をもっと知り、もっと好きになりたいと、昨年春に両国相撲甚句会へ入会しました。相撲甚句は江戸時代中期、享保年間に大相撲の力士たちが地方巡業や花相撲で歌い始めたのが起源とされ、花柳界の流行歌などを取り入れながら発展してきた伝統芸能です。現在は本場所で歌われなくなったこともあり、耳にする機会は少なくなりましたが、「相撲のまち・両国」だからこそ、次世代へ残していきたい文化だと感じています。月1回の練習会はなかなかのスパルタですが、早く人前で歌えるよう、仲間とともに励んでいます。
そして今春、4年間の休館を経て江戸東京博物館がリニューアルオープンします。両国にとっては、まさに「お帰りなさい、江戸博」。かつて両国国技館が蔵前から戻ってきた際、すみだの人々はベートーヴェンの「歓喜の歌」を5000人で歌う第九コンサートとして、その喜びを表現しました。文化を愛し、祝う心が息づく両国。その魅力は、これからも変わらず人々を惹(ひ)きつけていくことでしょう。
江戸東京博物館のリニューアルオープン後は、両国がこれまで以上に江戸と東京をつなぐまちとして、国内外から多くの来訪者を迎えることが期待されます。地域と来訪者が心地よく共生しながら、世界へ江戸東京文化を発信していく―。そんな両国の未来を、今から楽しみにしています。
(一般社団法人墨田区観光協会理事長・森山育子)
◆100日前イベント盛況
〇…江戸博リニューアル100日前記念イベントが昨年12月18日にJR両国駅隣接「―両国―江戸NOREN」で行われ、藤森照信館長と建築家・重松象平氏がトークセッション。藤森館長は「100日後に足を運んでいただけたら」、重松氏は「世界に誇れる東京の名所になっていく感じがする」。3番線ホームでは鴨南蛮が無料で振る舞われ、両国駅広小路では区主催の各種体験型イベント「おかえり! えどはく!」も行われた。
藤本照信館長(右)と建築家・重松象平氏による特別トークセッション