【2002年】野球(パ・リーグ) 松井 稼頭央

5年ぶり2度目の受賞に喜ぶ松井稼頭央 5年ぶり2度目の受賞に喜ぶ松井稼頭央
 律義さがにじみ出ていた。開会の50分ほど前、受賞者の中で1番に会場入りしたのが西武・松井だった。舞台でも、きっぱりと目標を言い切った。来季取得するFAとメジャー挑戦について聞かれると「(メジャーの)夢は持っていますが、まずは日本一。それを目指して頑張るだけです」。12球団の頂点に立つというまだ味わっていない夢に向かって突っ走ることを誓った。

 1997年以来、2度目の受賞。この表彰式のために前日、旅行先のハワイから帰国した。控室にいるときから驚きの連続だった。朝青龍と握手すると「でっかい手だ。覆われて(自分の)手がなくなるかと思った」と肩をすくめた。ボクシング・徳山とも会話が弾んだ。右まぶたにくっきりと傷の縫い目が残っている徳山を見て、「すっげえー」と目を丸くするばかり。そんな中でも何より、もうひとりの松井との出会いを喜んだ。

 会場でも控室でも隣同士だったゴジラにエールを送った。「頑張ってください、と言うしかないよ。シーズン中は、デーゲームの後とかに巨人戦の中継を見てましたよ。ホームランバッターだし、どれだけ通用するか楽しみ」子供のころは巨人の原(現監督)が好きだった。今、そのあこがれは海を渡るゴジラ松井に変わった。

 “松井の魂”は継承する。今ではすっかり定着した「リトル松井」のニックネーム。来季もそう呼んでほしいと思っている。「最初は違和感を感じていたけどね。米国で自分がそう呼ばれているということは、それだけ評価されているということだから。慣れましたよ」スイッチヒッターとしては史上初のトリプルスリー(3割、30本、30盗塁)を成し遂げた。その存在感は、もう「リトル」ではない。

 ◆松井 稼頭央(まつい・かずお) 1975年10月23日、大阪府生まれ。27歳。94年にPL学園高からドラフト3位で西武入団。95年オフにスイッチヒッターに転向。97年から3年連続盗塁王。98年にMVP。ゴールデングラブ賞も3度受賞するなど数々のタイトルを獲得。現役最長となる1003試合連続出場記録も継続中。177センチ、78キロ。右投両打。

◆2002年プロスポーツ大賞受賞者

部門 受賞者 所属 年齢 受賞回数
野球(セ・リーグ) 松井 秀喜 前巨人 28 2年ぶり3度目
野球(パ・リーグ) 松井 稼頭央 西武 27 5年ぶり2度目
男子ゴルフ 中嶋 常幸 フリー 48 16年ぶり6度目
女子ゴルフ 藤井 かすみ ザ・クイーンズヒル 35
大相撲 朝青龍明徳 高砂 22
ボクシング 徳山 昌守 金沢 28
Jリーグ 高原 直泰 磐田 23
特別功労賞 青木功 フリー 60 -

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